
最大多数の最大幸福
-功利主義が導く未来-
社会が複雑化し、あらゆる選択に道徳的な判断が求められる現代。私たちは「何が正しいのか」・「誰のために行動すべきか」と悩みながら生きています。
そんな中で注目すべきなのが、功利主義という思想です。「より多くの人々に、より多くの幸福をもたらすことが善である」とする功利主義の考え方は、感情に流されず、理想的に善悪を判断するための道しるべとなります。
さらに近年では「功利の怪物」という挑戦的な概念も議論の的となっています。今回は、功利主義と功利の怪物について考え、それらが持つポジティブな未来の可能性にも触れていきたいと思います。
功利主義とは・功利の怪物は本当に「怪物」か
功利主義とは、19世紀の哲学者、ジェレミー・ベンサムやジョン・スチュアート・ミルによって提唱された倫理理論のことです。その基本的な主張は、「幸福を最大化し、不幸を最小化することが正しい行為である」というもので、一言で言えば「最大多数の最大幸福」を目的とする倫理理論です。つまり、個人の利益や感情を超えて、社会全体の幸福量を高めることが善とされます。
功利主義の思想は、ときに誤解され、あるいは極端な事例に照らして批判されることもあります。その代表例が、よく話題になる「功利の怪物」という概念です。功利の怪物は、仮説上の生き物で、他者の何倍も強く幸福を感じる存在であり、功利主義の原則に従えば、彼(あるいはそれ)に他の人々の幸福を多少犠牲にしてでも、資源や行為を集中させるのが最も合理的だという結論を導くものです。一見すると、功利の怪物は「なぜ一人の存在のために、他の多数を犠牲にするのか」と、道徳的に反するようにみえます。
しかし、もし「功利の怪物」が単なる仮説上の存在ではなく、例えば将来的に圧倒的な想像力や共感力、問題解決能力を持ち、多くの人々の幸福に大きく寄与できる存在だったとしたらどうでしょうか。もしかしたら彼(あるいはそれ)に投資することは、結果的に何倍もの幸せを社会全体に広げることにつながるかもしれません。
この極端な特性を持つ存在は功利主義の限界を問うために使われることが多いですが、逆に考えれば、その「怪物」の存在がもたらす「単に現在の幸福を分配することだけでなく、未来の幸福を育てること」こそが、功利主義の可能性を象徴しているともいえるのです。
子供という未来の担い手により幸せを広げる社会へ
数字で人間の価値を測るように見えるため、一見すると冷徹にも見える功利主義。しかしその核心にあるのは、すべての人の幸福を平等に尊重し、最大化しようとする強い意志です。
私たちは日々、限られた時間や資源の中で何を優先するべきかを選ばなくてはなりません。そのとき、功利主義の「より多くの幸福を、より多くの人に届ける」という視点は、非常に実践的かつ倫理的な指標になります。
とくに子供のように未来に大きな可能性を秘めた存在に光を当てることで、功利主義は希望のある社会の構築へとつながります。教育や福祉といった分野では、功利主義は多くの子供たちに恩恵をもたらす可能性を秘めています。例えば、限られた予算内で子供たちの教育支援を最大化しようと考えるとき、功利主義の観点からの意思決定は、多くの未来を照らす光となるのです。
子供は、未来に無限の可能性を持つ存在です。今日、適切な教育や愛情を受けた子供たちは、明日の社会をより良く変えていく力を持ちます。
極端な例ではありますが、ある子供が将来、何百万人の命を救う医療法を見つけたり、貧困を減らす画期的な技術を開発したりする可能性がゼロではありません。こうした未来を想像するとき、「功利の怪物」と見なされるような突出した才能や共感力を持つ子供に資源を集中することは、結果的に全体の幸福の増大に寄与する選択なのではないでしょうか。
もちろん、特定の子供にだけに資源を集中させようという意味ではなく、むしろ功利主義の視点に立てば、「できるだけ多くの子供たちが自らの可能性を最大限に発揮できる環境を整えること」が正義といえます。幸福を最大化するには、土台を広げなければなりません。そのために社会全体が協力する必要があります。
「本当に社会全体の幸福を考えるなら、どこに力を注ぐべきなのか」という功利の怪物からの問いを功利主義から考えると、「より多くの幸福が生まれるところに、より多くの努力を注ぐ」となります。これに従うなら、私たちは社会的支援、教育、福祉、医療といった分野で、データに基づいた合理的かつ人道的な意思決定ができるようになります。そしてそれが、未来の子供たちの笑顔を増やし、社会全体の幸福を広げていく道となるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
功利主義は、数多くの困難な倫理的問題に対して現実的な道を示してくれます。幸せを広げることを最優先に考える功利主義は、決して冷酷ではなく、むしろ人間の尊厳と可能性を最大限に表す温かな倫理観だといえますし、その延長線上にある「功利の怪物」という概念もまた、私たちに未来への投資と想像力の重要性を教えてくれる存在です。
子供たちの可能性に希望を見出し、未来の幸福を最大化するために、今こそ功利主義的な視点から社会を見つめ直してみませんか。
人材派遣の株式会社アークより、人事労務関連のお役立ち情報をお届けしています。
大阪府を中心に近畿一円および福岡県~東京都で人材採用に困りの企業様、お仕事をお探しのみなさまの架け橋として当社をお役立てください。お仕事のことならどんな事でも、まずはお気軽に人材派遣の株式会社アークにお任せ下さい!!