思いやりのバトン
~「恩送り(Pay it forward)」とは?~

誰もが人に助けてもらったり、親切にしてもらったことがあるでしょう。思いやりを受けてうれしかった気持ちをいつか相手に返したいと思ってはいるものの、なかなか実現できずにいる、なんてことはありませんか?

『親孝行したいときには親はなし』という言葉もありますが、育ててくれた両親やかつてお世話になった上司や先輩、いつもそばで支えてくれる人への恩返しはできるうちにしたいものです。

しかし、受けた思いやりを返す方法は、もうひとつあります。それが「恩送り(Pay it forward)」です。今回は、恩送りとは何か、恩返しとの違いやなぜ恩送りの考え方が大切なのかについてみていきたいと思います。

恩返しとの違い

「恩返し」は、人から受けた恩を忘れず、いつかその恩に報いること、返すこと。昔話の『つるの恩返し』でも知られているとおり、助けられたつるは、自らの羽で作った反物でおじいさんに恩を返します。基本的に恩をくれた人にお返しする1対1のやり取りが恩返しです。

一方、「恩送り」とは、誰かから受けた恩を直接その人に返すのではなく、別の人に送ることをいいます。1つの優しさや助けを受けたとしても、その喜びや感謝を送る人数に上限はありません。

「情けはひとのためならず」ということわざは誤用されることも多いのですが、本来は恩送りの概念を表しています。人に思いやりを持つことは、その困っている人のためだけではなく、バトンを渡すようにめぐりめぐって自分を幸せにするものだという意味なのです。恩送りは、最近作られた言葉ではなく、江戸時代頃には使われていたという説もあるようです。

恩返し、恩送りはどちらも、日本の文化にも根付いている大切な考え方なのですね。

アメリカでは常識?!Pay it forward

恩送りと似た概念である「Pay it forward(ペイ・フォワード)」とは、直訳すると「先払い」という意味になります。アメリカではボランティア文化も発展しており、誰もが幼い頃から、人間の環境はさまざまで違いがあるということを実感しているそうです。

違いがあるのだから、余裕があるものが余裕のないものに無償で与えるのは当然のこと。見返りを求めない無償のPay it forwardという考え方が、常識的な道徳として根付いているのだそうです。

ちなみに、2000年には「Pay it forward 可能の王国」という映画もアメリカで製作・公開されており、コロナ禍の今、改めてその考え方が注目されているようです。

なぜ、恩送りの考え方が大切なのか?

恩送りは、Pay it forwardと同様に、人それぞれによって違いがあることを前提としています。もともと違う人間なので、環境の違いがあるのは当たり前。だからこそ、それぞれのできる範囲で人に優しさを配ることを目的としているのが、恩送りなのです。

長い人生の中で、人に何も与えられない時期があるのは当然のことです。自分の心に余裕があるときにやればよいのです。そして、別に小さなことでも構いません。例えば、道や行列で急いでいる人に順番を譲る、落とし物を交番に届ける、そんな些細なことでも十分です。

あなたからの恩送りを受け取った相手が、同じように何人もの人々に恩送りをする、そのあたたかな思いやりのバトンは次々と無限につながっていき、職場、学校、社会といった集団にきっと良い人間関係をもたらすことでしょう。

まとめ

振り返ってみると、自分に恩を与えてくれた人、今現在与えてくれる人は、目上の方や自分より人生経験が豊富な方であることが多いのではないでしょうか?こういった方々に恩返しをしようと思うと、自分が成長したら、と実際にお返しできるまでに時間がかかることも珍しくはありません。お互いの環境が変わり疎遠になったり、お相手によっては、残念ながらこの世を去ってしまうということだってあります。

それに対して「恩送り」は、時を待たずに、今すぐできる思いやりの受け渡しです。恩送りの基本とは、自分が優しさを受けてうれしかったことを、別の誰かにもしてあげるというシンプルなものです。見返りを求めることなく、ただ、自分がうれしかったからやる、それだけです。たとえ人に笑われたとしてもやってみようかと決めたときの、その心意気は、実は世の中をよりよいものへ変えていくものなのかもしれませんね。

 

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